メニューにもどる
Vol.12
一気に駆け抜けた。二千メートル級の稜線からの滑り納め。
山形県小国町 飯豊連峰石転び沢・門内沢春スキー
今年最後の山岳スキーを楽しむ、飯豊1泊2日の山行。石転び沢や門内沢の雪渓は、今の時期なら高差1200メートルの滑降を体験できる。
冬、シベリア高気圧からの冷たく乾いた季節風が、日本海に吹き渡る。風は対馬暖流の水蒸気を、たっぷり吸って山に衝突、大量の雪を落とす。海から約四十キロの近さにある飯豊連峰は、日本有数の豪雪地帯となる。登山者のあこがれを誘う大雪渓が、夏遅くまで残る理由である。
初日目、油断して仙台を朝6時出発としたのがいけなかった。林道への落石の恐れがあって、梅花皮荘から先は車が入れないという。そういえば、今年は雪が多かった。泊装備の上にスキー板をかついで、えんえん平坦路を歩くはめになった。平坦路といっても、気づかないほどの緩い登りだから、気分的に疲れる。見た目が平らなため、体がなんとなく重く感じるトリックがある。
飯豊山荘まで5キロ弱、そこから温身平を経て堰堤まで3キロ弱、晴天下のボッカ訓練みたいなものだった。もう、時間を気にしても仕様がない。
標高650メートルあたりだろうか、雪渓に降り立つと、ひんやりした風が渡ってきた。少し先、緑に萌え上がった滝沢の出合いが見える。その出合いのはるか上方に、烏帽子岳と思われる稜線がたっぷりの雪をまとって光っている。いよいよ登山気分になってきた。
スキーを早く降ろしたくて、さっそくシールを付けた。今日の幕営地点である門内沢出合いまで、ゆっくり歩けばいい。ところどころ両岸からの雪崩によって運ばれてきた倒木や岩屑、草などが散乱している。汚れた雪面は、季節が初夏に入っていることを教えていた。
天幕の設営もそこそこ、石転び雪渓に入る。とにかく行ける所まで行かねば、という気持ちだ。しかし結局、稜線にはほど遠い1400メートル付近で引き返すこととなった。天幕にもどったのは、6時過ぎとなっていた。
翌日は、遅れて入るメンバーとどこかで合流するため、ゆっくり5時起床。朝食は、食担によると「脱ラーメン」の標榜のもと、オープンサンドのメニューという。まずプリムスの携帯トースターが出てきた。それからトマト、キウリ、レタス、カリカリベーコン、スライスチーズ、コーンマヨネーズ、マスタードと、なんでもありの豪華さ。全部載せたら山盛りとなり、どこから食いついていいか苦労した。名付けて「石転びサンド」、見た目よりなかなかいけるおいしさだった。スープはコーンスープのクルトン付き。お好みでコンデンスミルクを少々入れて。もう一種、シイタケやごぼうなどの入った「鶏ごぼうスープ」とやらを飲んでいたら、袋に「CO-OP釜飯の素」!? なんと台所から失敬してきたという代物だった。
7時過ぎ出発。門内沢は石転び沢よりずっと開けており、それこそ石が転んでくる心配が少ない。傾斜も一定していて、稜線までシールスキーで行ける。しかし鋭い山稜と急峻な雪渓の織りなす骨太の風景は、豪壮と呼ぶにつきる。
テントサイトから門内岳までの高差は千メートル強。その間は、腰を下ろして休む気にならない傾斜続きだ。おかげで、2時間10分程で稜線に着いてしまった。
門内岳頂上の大蔵神社で、熱心にお参りする仲間。「今日の無事を祈念して我らにエールを。これぞジンジャエール!」。やっぱり、ありがたみの薄い講中だ。
雪質はすでに安定しており、上部の傾斜も35度ほどと申し分ない。まずは、テントサイトまで。思い思いのシュプールを描いて、一気に駆け抜けた。(05.05下旬)
(門内沢・もんないさわ 梅花皮荘・かいらぎそう 温身平・ぬくみだいら )
* アクセス 仙台〜小国町〜梅花皮荘〜飯豊山荘〜温身平〜往復
* 参考コースタイム(夏の一般山行の場合)飯豊山荘(30分)温身平(2時間)石転び沢出合(3時間30分)梅花皮小屋 ※門内沢は一般コースではありません。
* 2万5千図 長者原・飯豊山
* アドバイス 梅花皮荘〜飯豊山荘間は、夏期以外は車の通行ができない場合があります。国民宿舎梅花皮荘0238-64-2111
メニューにもどる
|